円周率の現在公開中の記録は下記のようになっています。
過去の計算記録、42億桁のπや1/πの値他の入手は anonymous ftp で pi.super-computing.org から。


                                                           2005 年 10 月 20 日
														   
 当初予定より公表が遅れましたが、2002 年 12 月 6 日に記者会見を開いて公表し
ている我々の現時点における最新の記録を以下に示します。

宣言した記録:

 1 兆 0307 億桁(16進)
 1 兆 2411 億桁(10進)

 二つの異なるアルゴリズムに基づく二つのプログラムを使用して得られた 16 進
 で 1 兆 0307 億 7543 万桁以上の数値を比較したところ、数値は合致していた。
 またその値を 10 進に変換して得られた 1 兆 2411 億 7730 万桁以上の数値を
 再度 16 進変換し、16 進 -> 10 進変換で与えた入力の 16 進数と合致した事
 から、16 進 -> 10進 -> 16 進の各ステージで使用した基底変換プログラム並び
 に基底変換結果の両方が正しい事が確認できた。それで、これまでと同様記録の
 安全性と記憶の容易さを考慮し、切りの良い 1 兆 0307 億桁(16進)、 1 兆 
 2411 億桁(10進)それぞれを新記録と宣言した。16 進と 10 進による結果の
 詳細については以下に示す URL の情報を参照されたい。

 http://www.super-computing.org/pi-hexa_current.html.ja    (16進)
 http://www.super-computing.org/pi-decimal_current.html.ja (10進)

計算の概略:

・東京大学情報基盤センター(旧東京大学大型計算機センター)に設置してある
 HITACHI SR8000/MPP(144ノード、14.4GFlops/ノード、16GB/ノード、ノード間
 通信性能:1.6GB/秒(片方向)、3.2GB/秒(双方向))の内の 64 ノードをシ
 ングルジョブ実行環境で占有する並列計算として実行。

・計算及び結果の確認完了日時:2002 年 11 月 24 日午後 3 時 6 分(JST)

・使用した円周率計算公式
 主計算公式(1982 年に高野喜久雄氏が発見)

  π = 48 arc tan(1/49) +128 arc tan(1/57) - 20 arc tan (1/239) + 
         48 arc tan(1/110443)

 検証計算公式(1896 年に F.C.M. Stoemer が発見。"oe"は"oにウムラウト")

  π = 176 arc tan(1/57) + 28 arc tan(1/239) - 48 arc tan(1/682) + 
         96 arc tan(1/12943)

 注:両公式とも総計算時間の観点から能率の良い公式ではない事に注意。
   単純に日本人が発見した公式と新しい計算方法を使いたかったという事と、計算の
      正しさの検証効率の高さの両観点から選択した。

・計算手順及び計算経過時間
 (1) 主計算公式に基づいた 16 進による円周率計算 :400 時間 0 分
 (2) 検証計算公式に基づいた 16 進による円周率計算:157 時間 4 分
 (3) 16 進で得られた円周率の 10 進数への基底変換 :23 時間 20 分
 (4) 基底変換プログラムの正しさ確認目的の、(3)で得られた 10 進数の 16 進数への
   基底変換                  :21 時間 32 分

 上記計算時間の総和:601 時間 56 分
 尚この時間は、主記憶と磁気ディスク装置の間で約 400 TB のデーター量の移動時間を
 含んでいる。

・FORTRAN で主要部分を記述し、一部を C で記述。総行数はコメントを含み約 7 万 
  9200 行。

・まず 16 進数で計算し、その結果を 10 進数にした理由
 総計算時間の短縮及び、計算手法として採用した DRM 法(Divide and Rationalize 
  Method)の効果を確認する為。尚有理数係数多項式、基底変換、連分数展開の高精度
  計算に有効な DRM 法については学会論文誌(後 保範、金田 康正、高橋 大介:
  「級数に基づく多数桁計算の演算量削減を実現する分割有理数化法」情報処理学会
  論文誌、Vol. 41、No. 6、pp. 1811-1819、2000.)を参照されたい。
 ちなみに本記録で使用した手法でこれまでの記録と同じ2061億桁を前回と同じ計算機
 HITACHI SR8000 で行った場合の推定計算時間を多めに見積もると、約38時間(主計算
 :25 時間、検証計算:10 時間、10 進 -> 16 進及び 16 進 -> 10 進:合わせて 3 
  時間)となる。

・4 年以上の間計算に関係した人々(肩書きは当時)
 東大関係者
 ・金田 康正:東京大学情報基盤センター スーパーコンピューティング研究部門 教授
 ・黒田 久泰:東京大学情報基盤センター スーパーコンピューティング研究部門 助手
 ・工藤 誠 :東京大学情報理工学研究科 コンピュータ科学専攻 修士2年
 日立関係者
 ・後 保範  :(株)日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 HPCビジネス部 主任
                  技師
 ・五百木 伸洋:(株)日立製作所 ソフトウェア事業部 言語設計部 主任技師
 ・田中 慎一 :(株)日立製作所 ソフトウェア事業部 言語設計部 ユニットリーダ技
         師
 ・河村 宏樹 :日立ソフトウェアエンジニアリング(株)アプリケーションソフト設計
                  部
 ・藤田 不二男:(株)日立製作所 ソフトウェア事業部 第1OS設計部 主管技師
 ・篠原 元  :(株)日立製作所 公共システム事業部 学術情報システム部 主任技師
 ・長谷部 浩樹:(株)日立製作所 公共システム事業部 学術情報システム部 技師
 さらに技術支援者として
 ・安崎 篤郎 :(株)日立製作所 ソフトウェア事業部 主管技師
 ・中川 八穂子:(株)日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 サーバ開発本部 
                  主管技師

金田康正
東京大学情報基盤センター スーパーコンピューティング研究部門
(旧東京大学大型計算機センター)
〒 113-8658 文京区弥生 2-11-16
Fax    : (03) 3814-7231 (G3 & Super G3)
電子メール : yasumasa.kanada at klab.cc.u-tokyo.ac.jp